【2026年最新】ベトナムのオーバーステイを招く5つの誤解と実務対策
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ベトナムでは、ビザ免除対象の拡大、一時滞在許可期間の延長、電子ビザ(E-visa)発給手続きの簡素化など、開放的かつ国際統合を推進する政策が進められています。これにより、優秀なグローバル人材や投資家、海外専門家がベトナム国内で生活・就労しやすい環境が整えられています。
一方で、入国者数の増加に伴い、居住管理に関する行政違反、特に一時滞在期限超過(オーバーステイ)の発生件数も顕著に増加しています。これらの違反の多くは意図的なものではなく、「ビザ有効期限」と「ベトナムでの一時滞在許可期間」の違いに対する誤解や認識不足に起因しています。このような管理上の見落としは、外国人本人が行政処罰や強制送還リスクに直面するだけでなく、招聘・保証企業(現地法人)のコンプライアンス評価や社会的信用(レピュテーション)にも深刻な悪影響を及ぼします。
本稿では、ベトナム進出日系企業のビジネスパートナーとして実績豊富なソトチカの専門家チームが、記2つの概念の違いを明確に整理します。その上で、企業が法的リスクを正しく把握し、コンプライアンス違反を未然に防ぐための実務ポイントと典型的な誤解の事例を解説します。
ベトナムの「ビザ有効期限」と「一時滞在期限」の違い
実務上、オーバーステイを防ぐためには以下の2つの概念を正確に区別することが不可欠です。
| 比較項目 | ビザ有効期限 | 一時滞在期限 |
| 法的な定義 | 外国人がベトナムへ合法的に入国するために、ビザの効力が認められる期間。 | 入国審査の完了後、外国人がベトナム国内に合法的に滞在できる期間。 |
| 実務上の効力 | ビザを使用して入国手続き(シングルまたはマルチ)を行える対象期間の枠組みを指定。 | オーバーステイ(不法残留)とならずにベトナム国内に滞在できる、具体的な日数上限を指定。 |
| 確認方法 | 発給されたビザ原本(査証シール、別紙ビザ、またはE-visaファイル)の「Valid from… to…」欄に記載。 | 国境検問所(空港等)でパスポートに押印される入国スタンプの「Permitted to remain until…」欄に記載。 |
| 期間の変動性 | 発給されたビザ文書に記載された期間で完全に固定。 | 原則としてビザの残存期間に基づいて付与されるが、場合によってビザ有効期間より短くなることがある。 |
【ケーススタディ】ビザ有効期限と一時滞在期限の計算例
外国人旅行者が観光目的(DLビザ)でベトナムに入国するケースを例に、具体的な期間の計算方法を解説します。
* 前提となるビザ関連情報
- ・取得ビザの種類:観光ビザ(記号:「DL」、シングル入国)
- ・ビザの有効期間:30日
- ・一時滞在許可期間:15日
- ・発給日:2026年4月15日
*実務上の留意点(オーバーステイ防止のポイント)
この場合、ビザの効力そのものが完全に失効し、使用できなくなるのは「2026年5月15日」です。旅行者はこの1ヶ月の有効期間内であれば、任意のタイミングでベトナムへ入国することが可能です。
しかし、ベトナム国内に合法的に滞在できるのは「入国日から最大15日間」に限定されます。そのため、たとえビザの有効期限(5月15日)がまだ残っていたとしても、入国後15日目の期限が到来する前に必ず出国しなければなりません。これを誤ると、オーバーステイ(一時滞在期限超過)として行政処罰の対象となります。
ベトナムにおける外国人の合法的滞在に関する法的枠組み
ベトナムにおける外国人の居住および滞在管理は、ベトナム出入国管理法(2026年3月23日発行の統合文書62/VBHN-VPQH号)によって厳格に規定されています。実務上、まず第一に理解すべき重要ポイントは、「ビザ有効期限」と「一時滞在期限」は必ずしも一致しないという点です。それぞれの期間は、発給されたビザの記号に応じて個別に設定されます。
入国後、有効なTRCまたはPRCを所持していない外国人には、国境検問所(空港等)にて一時滞在証明(入国スタンプ)が付与され、その期間は原則としてビザの有効期間と同等となります。なお、日本を含むベトナムの「一方的ビザ免除措置」の対象国である国民には一律45日間の滞在許可期間が付与されます。
極めて重要な点として、滞在期間中にベトナムの法律に違反した場合、滞在許可期間が短縮または取消(無効化)されるリスクがあります。さらに、滞在期限が切れたにもかかわらず出国しなかった場合(オーバーステイ)、過去に犯罪歴や治安妨害行為が一切なかったとしても、強制送還処分の対象となります。
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外国人がベトナムでオーバーステイに陥る5つの典型的な誤解
ベトナムにおけるオーバーステイ(不法残留)の多くは、制度に対する認識不足や誤解から発生します。以下に、押さえるべき「5つの典型的な誤解」と、その正しい法的解釈および実務上の対策を解説します。
1. E-visaの期間を「実際の入国日」から起算するという誤解
誤った認識:90日間有効のE-visaを取得した場合、ベトナムの空港に実際に到着した日時からカウントして90日間滞在できると思い込むケース。
正しい法的解釈:E-visaの有効期間は「Good for entry valid from … until …」欄に明記された固定期間です。合法的な滞在期間は必ずこの期間内に収める必要があり、実際の入国日には一切依存しません。
ケーススタディ:E-visaの有効期間が「2026年1月1日〜3月31日」である場合、2026年2月1日に入国しても最大滞在許可日は3月31日まで(実質59日間の滞在)となり、入国日から90日間滞在できるわけではありません。
推奨対策:E-visa上に記載された有効期限を正確に確認し、実際の滞在日数を厳密に把握した上で、期限前の自主的な出国・延長手続きを行ってください。
2. E-visaの効力に関する誤解(ベトナム国内での自動更新不可)
誤った認識:新しいE-visaが発行されれば、ベトナム国内に滞在したままでも自動的に効力が切り替わると思い込み、現在のE-visaの期限内に出国せずそのまま滞在を継続しようとするケース。
正しい法的解釈:ベトナムにおける合法的な滞在期間は、入国データおよび関連出入国書類に基づき判定されます。ベトナム国内に滞在中の場合、新たに取得したE-visaの効力は自動的には発効しません。新E-visaを有効化するには、現在の滞在期限内に一度出国し、新E-visaを用いて再入国手続きを行う必要があります。
ケーススタディ:メキシコ国籍の人物がEビザで2026年1月7日に入国し、1月12日までの滞在許可を得ました。事前に入手していた別E-visa(1月8日〜4月6日有効)もありましたが、新E-visa効力開始日の前日(1月7日)に入国したため、新E-visaでの入国とは記録されませんでした。しかし本人は新E-visaの期限が自動適用されたと勘違いし、1月12日以降も滞在を継続。結果としてオーバーステイとなり、宿泊施設側も「不法滞在者への宿泊提供」として法的責任を問われました。
推奨対策:入国ごとに実際の滞在期限を厳重に確認してください。有効期間の異なる複数のE-visaを取得している場合でも、国内滞在中に自動切り替えは行われない点に注意が必要です。
3. 「業務目的のE-visa」と「労働許可証(WP)」を同一視する誤解
誤った認識:E-visaは商談や短期出張など複数の目的で発給されるため、業務目的(Working purpose)のE-visaさえあればベトナム国内で自由にかつ合法的に就労し、給与を受領できると思い込むケース。
正しい法的解釈:「合法的な入国・滞在権」と「合法的な就労権」は全く異なります。ベトナム法律上、外国人が就労するには出入国・滞在・労働の各要件をすべて満たす必要があります。E-visaは入国・滞在の合法性のみを担保するものであり、WPの代用にはなりません。合法的かつ長期的に就労するには、E-visaの有効期間内に労務手続き(WPまたはWP免除認定書の取得)を完了させ、就労ビザ(記号:LĐ1/LĐ2)や就労目的のTRCへ切り替える必要があります。
ケーススタディ:中国国籍の人物が短期業務目的の90日間E-visaで入国し、労務手続きを経ずにあるベトナム現地法人で直接就労し給与を受領。その後WP要件を満たせなかったため、同目的のE-visaを繰り返し取得して無許可での就労・滞在を継続しました。ビザ目的外使用および労働法令違反として、本人および受入企業が政令282/2025/NĐ-CP号、政令283/2026/NĐ-CP号等の関係法令に基づき処罰されました。
推奨対策:
- ・E-visa申請時は入国目的を正確かつ誠実に申告すること。
- ・発給されたビザの認可目的の範囲内でのみ活動を行うこと。
- ・実際に就労を開始する前に、所定の労務手続きおよび出入国手続きをすべて完了させること。
- ・受け入れ企業も、招聘・保証・管理責任を主体的に果たし、コンプライアンスを徹底すること。
4. 「5年数次ビザ免除証」で5年間連続滞在できるという誤解(180日滞在制限)
誤った認識:5年数次ビザ免除証を所有していれば、出国や更新手続きを行うことなくベトナム国内に5年間連続して滞在できると思い込むケース。
正しい法的解釈:規定上、5年数次ビザ免除証は「5年間の有効期間内であれば何度でも入国できる」権利を与えるものですが、1回の入国で許可される一時滞在期間は最大180日までです。
ケーススタディ:日本国籍を持つベトナム系住民(越僑)が、5年数次ビザ免除証を用いて2026年3月1日に入国。空港の入国審査で「2026年8月27日まで(入国日から180日間)」の滞在許可スタンプ(入国スタンプ)が押印されました。しかし本人はこのスタンプを確認せず「5年間滞在できる」と信じ込み、8月27日以降も出国や滞在延長手続きを行わずに滞在を継続し、オーバーステイとなりました。
推奨対策:
- ・「5年数次ビザ免除証=5年間の連続滞在許可」ではないことを理解徹底すること。
- ・パスポートの入国スタンプに記載された一時滞在期限を厳密に管理すること。
- ・期限到来前に、規定通りに出国手続きまたは滞在延長手続きを行うこと。
5. 二重国籍者が「外国パスポートでの入国時もベトナム国民の権利を享受できる」とする誤解
誤った認識:ベトナム国籍を保持していれば、外国パスポートで入国した場合でも、ビザ不要・滞在無制限などベトナム国民としての権利を当然に享受できると思い込むケース。(帰化や国際結婚等による二重国籍者に多く見られる誤解)。
正しい法的解釈:海外在住ベトナム人(特に二重国籍保有者)が外国パスポートを使用してベトナムに入国した場合、法的には「ベトナムに滞在する外国人」として扱われます。そのため、以下の出入国法令上の義務を負います。
- ・ビザまたはビザ免除証の取得(一方的・双務的ビザ免除対象を除く)。ただし、いずれの場合も入国ビザに基づく滞在期間の制限を受けます。
- ・一時滞在期間の順守、一時滞在申告、入国目的の順守など、出入国法令の厳格な履行。違反した場合は行政処罰の対象となります。
ケーススタディ:二重国籍(ベトナム・日本)の専門家が、プロジェクト対応のため日本のパスポートを使用し一方的ビザ免除(45日間滞在許可)にて入国。自分にはベトナム国籍があるので問題ないと信じ込み、90日間連続で滞在・勤務しました。出国時、オーバーステイの罰金を免れようとベトナムパスポートを提示しましたが、出入国管理局の点検により、ベトナムパスポートに入国スタンプがなく、日本のパスポートは45日間の滞在超過であることが発覚。政令282/2025/NĐ-CP号に基づき、出入国・居住法令違反として処罰されました。
推奨対策:
- ・2つ以上の国籍を持つベトナム国民は、自身の権利を確実に行使・保護するため、ベトナムのパスポートでの入国を推奨します。
- ・「入国時に使用したパスポートと同じパスポートで出国する」という原則を徹底してください。
在ベトナム日系企業の皆さまへ
実務において、ベトナムの出入国管理制度に対する誤解や認識不足は、一時滞在期限超過(オーバーステイ)を引き起こす直接的な原因となっています。規定上、わずか1日の超過であっても行政処罰(罰金等)の対象となり、最悪の場合は強制退去(強制出国)処分を受けるリスクがあります。さらに、将来的なベトナムへの再入国や就労ビザ・TRCの審査にも深刻な悪影響を及ぼします。
したがって、出入国法令のコンプライアンスを徹底することは、駐在員のベトナム国内での合法的滞在を担保するだけでなく、将来にわたるクリーンな出入国履歴を維持し、企業の事業リスクを回避するためにも不可欠です。
ソトチカは、ベトナムのFDI企業や外国人労働者(特に日本から赴任される専門家、管理職、投資家の方々)を対象に、外国人向け各種手続きに関する高度な専門コンサルティングおよび申請代行サービスを提供する信頼のパートナーです。貴社の予期せぬ財務リスクや、社会的信用の失墜といったビジネス上の打撃を未然に回避するため、ぜひ今すぐソトチカの専門コンサルティングチームへご相談ください。法的な観点から書類を徹底的にスクリーニングし、最も正確かつ安全な手続きをサポートいたします。
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📞 Tel: +84(0)28 6299 5082
📍 オフィス所在地: 7th Floor, Star Building, 33Ter–33Bis Mac Dinh Chi Street, Sai Gon Ward, Ho Chi Minh City, Vietnam
本記事の情報は執筆時点の法令に基づいています。ベトナムの労務法令・手続きは変更が頻繁に発生するため、実務対応の前に必ず最新情報および管轄当局の最新解釈をご確認ください。
よくある質問
Q1: ビザに記載された有効期限内であれば、外国人は当然にベトナム国内に合法滞在できますか?
必ずしもそうとは限りません。ベトナムにおける合法的な滞在期間は、入国データ(国境検問所の入国スタンプ等)および関連出入国書類(ビザ、5年数次ビザ免除証、TRC等)に基づいて判定されますが、「ビザ有効期限」と「一時滞在期限」は必ずしも一致しません。そのため、ビザに印字された期限のみを過信せず、入国ごとに実際の一時滞在期限を厳重に確認する必要があります。
Q2: 90日間有効のE-visaの効力開始日より遅れて入国した場合、実際の入国日から起算して90日間滞在できますか?
滞在できません。E-visaの有効期間は「Good for entry valid from… until…」に明記された固定期間です。入国が遅れても滞在可能期間が延長されることはなく、最終滞在可能日はEビザに記載された有効期限日のままとなります。
Q3: 複数のE-visa(有効期間が異なるもの)を保有している場合、ベトナム国内に滞在したまま新しいE-visaの効力へ自動的に切り替わりますか?
切り替わりません。効力が発生するのは、入国手続き時に使用したE-visaのみです。新しいE-visaの効力を有効化させるには、一度ベトナムを出国し、新しいE-visaを用いて再入国手続きを行う必要があります。なお、「ビザ延長」の概念はベトナム国内で手続きが可能な一部の従来型ビザにのみ適用され、E-visaには適用されません。
Q4: 外国人はE-visaを使用してベトナム国内で勤務し、給与を受け取ることができますか?
不可能です。E-visaは観光、親族訪問、商談、出張、市場調査等を目的とした短期入国用ビザであり、労働許可証(WP)の代わりにはなりません。ベトナムで合法的に勤務・給与受領を行うには、出入国・滞在・労務に関する以下の要件をすべて満たす必要があります。
- WPの取得、又はWP免除対象の認定
- 規定に基づく就労ビザ・TRCの取得および企業による招聘・保証
Q5: 二重国籍者が外国パスポートで入国した後、オーバーステイ罰金を回避するためにベトナムパスポートで出国することは認められますか?
絶対に認められません。ベトナム出入国管理法では「入国時に使用したパスポートと同じパスポートで出国する」という原則が厳格に適用されます。外国パスポートで入国した場合、二重国籍者であっても外国人として管理され、一時滞在許可期間を遵守する義務が生じます。出国時にパスポートを切り替える行為は出入国法令違反とみなされ、政令282/2025/NĐ-CP号に基づき行政罰の対象となります。
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