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  • ブログ 2025/12/01

    【ベトナムBiz第8回】製造業向け優遇税制のCIT法2025年改正、変更点と対象は? Part 1

    【ベトナムBiz第8回】製造業向け優遇税制のCIT法2025年改正、変更点と対象は? Part 1

    製造業の現場では、「税制優遇の基準が変わるらしいけど、うちの工場は対象なのか?」といった戸惑いの声が広がっています。これまでは工業団地に立地していれば特典が受けられましたが、2025年のCIT法 (Corporate Income Tax Law:法人所得税法)

    改正により、「技術力や投資規模が重視される新ルール」へと大きく舵が切られます。

    例えば、これまで特定の地域に工場を建てれば自動的に受けられた免税措置が、今後は産業分類や技術レベル、投資規模のクリアが必須条件となります。自社が今後も優遇対象になれるのか、どんな準備が必要なのか、不安や疑問が尽きないのではないでしょうか。

    本記事では、CIT法2025年改正のポイントや優遇税制の新たな対象基準について実務目線でわかりやすく解説します。従来制度との違いや、既存・新規プロジェクトの取り扱い、優遇適用のために必要な書類・準備まで、具体的な対応策を整理しています。自社にとって最適な投資判断やリスク回避のヒントを得たい方は、ぜひご一読ください。

    こんな方にオススメ

    ・製造業でこれから投資・拡大を検討している経営層・管理部門の方

    ・工場の立地や設備投資に関して、最新の優遇税制動向を把握したい方

    この記事を読むと···

    ・CIT法2025年改正後の優遇税制の適用基準や変更点が具体的に理解できる

    ・新規・既存プロジェクトごとの申請手続きや実務上の注意点が分かり、スムーズな対応策を立てられる

    1.製造業向け優遇税制の従来制度とCIT法2025年改正の背景

    製造業の投資を後押ししてきた法人所得税優遇は、従来「工業団地に立地するだけ」で自動的に適用される仕組みが中心でした。たとえば新規に指定工業団地へ進出した場合、最初の2年間は法人所得税が全額免除、その後4年間は通常税率の半分に抑えられるなど、インセンティブが明確かつ分かりやすい特徴がありました。

    しかし2025年10月から施行される新たなCIT法では、こうした「場所優遇」が大幅に見直されます。今後は産業分類や技術水準、プロジェクト規模、地域条件といった新たな基準が重視され、単なる立地だけでは優遇が受けられない仕組みへ転換されるのです。

    以下に、その具体的な変遷と背景を段階的に整理します。

    変更点 従来制度 CIT法2025年改正後
    優遇基準 工業団地立地のみ 産業・規模・技術・地域要件
    優遇内容 2年免税+4年半減 条件により異なる(個別審査)
    対象範囲 広範囲に適用 選別的に適用

    1.1. 工業団地立地優遇制度の概要

    これまでベトナムでは、指定の工業団地や工業区に製造業が新規投資し、事業を開始すると、特別な法人所得税優遇が受けられました。具体的には、工業団地内で操業を始めた場合、自動的に税制インセンティブが適用される仕組みが一般的でした。

    この優遇は、工業団地という「場所要件」のみで恩恵を受けられる点がポイントでした。多くの企業がこの制度を活用し、進出判断の重要な材料としてきたことは間違いありません。

    一方で、どの産業や技術水準か、どの地域に立地しているかといった条件は、二の次にされていた現実があります。

    ・工業団地立地だけで自動的に優遇対象

    ・業種や規模に関係なく広く適用

    ・進出企業の初期負担軽減に寄与

    ・投資判断がシンプルで分かりやすい

    1.2. 2年免税+4年半減の仕組み

    従来の優遇措置の核となっていたのが、「最初の2年間は法人所得税が免除され、その後4年間は税率が半額になる」という分かりやすい制度設計です。たとえば、標準税率が20%の場合、最初の2年は税額ゼロ、その後4年間は10%で済む計算になります。

    この仕組みは工業団地や特定の優遇地域に進出した企業であれば、業種や規模を問わず広く適用されてきました。そのため、短期的なキャッシュフロー改善や投資回収期間の短縮を狙う企業にとって、極めて魅力的なインセンティブとなっていました。

    ・最初の2年は法人税ゼロ

    ・次の4年間は税率半額

    ・進出企業の資金繰り改善に直結

    ・幅広い企業が恩恵を受けてきた

    1.3. 産業・規模重視への政策転換

    2025年CIT法改正では、優遇の判断基準が大きく変わります。従来のように「どこに立地するか」だけではなく、「どんな産業か」「どのくらいの規模か」といった内容が重視される流れです。

    たとえば、ハイテクやグリーン分野、支援産業など特定の産業分類に該当する場合や、一定規模以上の投資である場合に、優遇が認められる基準が導入されます。これにより単純な立地条件だけを満たすプロジェクトは、今後は優遇の対象外となる可能性が高まります。

    新基準 内容
    産業分類 ハイテク・グリーン・支援産業など
    投資規模 一定額以上のプロジェクトが対象
    立地条件 地域特性も考慮

    1.4. 技術・地域要件の重要性増加

    新制度では、技術レベルやプロジェクトが所在する地域の特殊な社会経済条件も、優遇の判定に大きく影響します。具体的には、高度な技術やグリーンテクノロジーを活用する事業、あるいは社会経済的な配慮が必要な地域に立地するプロジェクトには、従来以上の優遇措置が設けられることがあります。

    逆に、技術的な付加価値や地域的な特殊性が認められない案件では、優遇を受けにくくなっていくでしょう。この変化により、投資判断時の事前準備や要件確認の重要性が大きく増しています。

    ・高度技術やグリーン分野の評価が上昇

    ・社会経済的に配慮が必要な地域の優遇拡大

    ・単純な製造や一般地域は優遇が限定的に

    ・事前の要件確認が不可欠

    1.5. 法改正で投資判断基準が変化

    CIT法2025年改正を受けて、製造業の進出・投資判断は大きな転換期を迎えています。従来は「工業団地に入れば税制優遇あり」といった単純な基準で済みましたが、今後は産業分類や技術水準、地域性といった複数の要素を総合的に満たす必要があります。

    これにより、進出の初期段階から専門家と協議しながら、どの項目が優遇対象となるかを検証する姿勢が不可欠です。今後、実際にどのような新基準が適用され、何を準備すべきか、詳しく見ていきましょう。

    投資判断の新基準 必要な対応
    複数要素の総合判定 専門家との事前協議
    産業・技術・地域性の確認 個別要件の詳細調査
    新基準への柔軟な対応 進出計画の再設計

     

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