【ベトナムBiz第2回】ベトナム工業団地の土地購入・レンタル・BTS徹底比較!選択の決め手は?(前編)
ベトナムの工業団地に進出する際、土地の所有権を購入するか、レンタルやBTS(Build to Suit)を活用するかは、事業戦略に大きく関わる重要な選択です。自社工場建設や初期コスト、現地運営の柔軟性など、それぞれに異なるメリット・デメリットが存在します。この記事では、三つの選択肢の特徴を具体的に比較し、工業団地の選定ポイントや失敗を防ぐための支援サービスの活用法まで、実践的に解説します。
1.ベトナム工業団地の土地購入・レンタル・BTSとは?それぞれの特徴を解説
ベトナムで製造業が工業団地へ進出する際、土地分譲(所有権の購入)、レンタル工場、BTS(Build to Suit)の3つの方式が存在します。それぞれ初期投資やリスク、カスタマイズ性など異なる特徴があり、自社の事業規模や戦略、予算に応じた選択が重要です。以下で各方式の特徴を詳しく解説し、適切な選択のためのポイントを整理します。
・土地分譲は長期安定運用に向く
・レンタル工場は初期投資を抑えられる
・BTSはカスタマイズ性が高い
・自社の予算や成長戦略に合わせた選択が不可欠
1.1. 土地分譲(所有権の購入)の特徴
土地分譲は、工業団地内の土地の使用権を購入し、自社で工場を建設する方式です。ベトナムでは社会主義国家のため、土地の所有権は最大50年の期限付きとなっており、多くの工業団地では残存使用年数が30~40年程度です。一般的に最小分譲面積は1ヘクタール(10,000㎡)以上とされ、中小企業にはややハードルが高い傾向があります。南部は北部よりも土地価格が約5割高いことも特徴です。大規模工場や長期安定運用を重視する場合に選択されるケースが多く、土地の使用権の残存年数確認が必須です。
| 特徴 | 内容 |
| 使用権の期間 | 最大50年(多くは残存30~40年) |
| 分譲面積 | 1ヘクタール以上が一般的 |
| 土地価格 | 南部は北部より約5割高い |
| 適した企業規模 | 大規模工場や長期運用を目指す企業 |
1.2. レンタル工場の特徴
レンタル工場は、工業団地が用意した標準仕様の工場や倉庫を一定期間借りる方式です。数百㎡から数千㎡までユニットサイズがあり、内装工事や機械搬入を済ませれば短期間で操業を開始できます。契約期間は通常3年以上で、初期投資を抑えたい場合や万が一の撤退にも柔軟に対応できる点がメリットです。ただし、天井高や床耐荷重など仕様が決まっているため、自社設備や生産プロセスに合致するか事前確認が必要です。事業規模やリスク許容度に応じて選ばれています。
・初期投資が少なく済む
・短期間で操業開始が可能
・仕様の標準化による制約がある
・リスク回避や撤退もしやすい
1.3. BTS(Build to Suit)の特徴
BTS(Build to Suit)は、テナントの要望に基づき工業団地側がオーダーメイドで工場や倉庫を建設し、その費用を5~10年のリース契約で分割して支払う方式です。標準レンタル工場では対応できない独自設備や仕様が必要な場合に適しています。一般的に1ヘクタール以上の規模で活用されるケースが多く、初期投資を抑えつつ自社専用の施設を確保できるのが特長です。大企業や高度な生産設備が求められる業種に適したスキームですが、長期契約となるため事業計画と合致しているか慎重な検討が必要です。
| 特徴 | 内容 |
| カスタマイズ性 | 高い(要望に応じた設計が可能) |
| 初期投資 | 分割払いで抑えられる |
| 活用規模 | 1ヘクタール以上が一般的 |
| 適した企業 | 大企業や高度な生産設備が必要な業種 |
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